2023年9月20日更新
執筆者 : かな|法人営業
目次

「資料請求フォームの離脱率が高くてどうしよう・・・」とお考えのWebマーケティングの担当者様に向けて、離脱率が高くなってしまう原因と改善策を解説します。またSaaS企業の事例を交えてご紹介していきますので、特にB2BのWebマーケティング担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

離脱率とは

離脱率とは、あるページに訪れたユーザーのうち、入力を完了せずに離脱した割合を指し、以下の式で算出することができます。

離脱率 = (離脱者数 / 訪問者数) × 100

例:あるページの訪問者数が100人、離脱者が20人の場合、離脱率は以下のようになります。
離脱率 = (20 / 100) × 100 = 20%

離脱率が高いほど、ユーザーがフォームへの入力を完了せずに離脱していることを示しますので、離脱率を改善することによってフォーム入力完了率が高まり、最終的なコンバージョンも向上します。

フォームの平均離脱率は?

フォームの平均離脱率は、一般的に50~70%と言われています。例えば、資料請求フォームの離脱率は約50%で、会員登録フォームの離脱率は約60%くらいです。また、BtoBのフォームの離脱率は、BtoCのフォームの離脱率よりも高い傾向です。ただし、フォームの種類やターゲット層によって、離脱率は大きく異なりますのであくまで参考値としてお考えくださいませ。

フォームを離脱してしまう原因と改善策

エントリーフォームにたどり着いたユーザーの半数以上が離脱してしまうのはなぜでしょうか?
それは、フォームが使いにくいか、入力項目が多すぎて途中で「もういいや」とあきらめてしまうためです。多くがこの2つの原因によって起こってしまいます。
この2つの原因を解消するための改善策をご紹介します。ぜひ自社のフォームと比較しながらご覧ください。

1.入力項目を精査する

入力項目が多いと、ユーザーは入力に手間がかかり、離脱率が高くなりますので、必要な情報だけを入力してもらいましょう。必要な項目はサービス特性によって大きく異なります。「契約書管理システム/電子契約システム」と「SFA」のサービスを提供する企業サイトの入力フォームを計200サイト分、調査をしました。どの項目は必須にすべきなのか、どの項目は不要なのかをまとめています。その内容は次の段落で詳しくお伝えします。現在運用しているWebサイトのフォームとぜひ比較してみてください。

2.自動入力を活用する

よくあるパターンとしては、郵便番号を入力すると住所が一式記入される、会社名を入力すると住所が一式で入力される等の仕組みです。もし入力項目が多かったとしても、その大半が自動入力で入力ができるのであれば、ユーザーの負担は軽減されるため、入力完了率はかなり高まるでしょう。自動入力機能を導入していないサイトはご検討ください。

3.必須項目を分かりやすくする

必須項目がわかりにくいと、ユーザーは入力を間違えたり、入力を諦めたりしてしまう可能性があります。必須項目は「必須」と明確に表示しましょう。SaaS系だと必須事項が少し分かりにくく「*」というマークのみのものがあります。しかしこれだとどこまで記入すれば良いのかが分からないので、以下のように、明確に「必須」と記載するか、必須項目は色自体を変えるなど工夫してみると良いでしょう。
キャプチャ

4.入力例を分かりやすくする

よくある例として「郵便番号と携帯番号はハイフンなしで記入ください」などの記載例が書いている場合がありますが、それが入力枠の中に書かれており、入力をするとその例が消えてしまうことがあります。そうすると、すべての項目を入力してから最後の最後にエラーとなって抽出されてしまうと、入力自体がめんどくさくなってしまいます。下図のように、入力枠の外に例を書くことによって、エラー&修正が圧倒的に減ります。

フォーム例

5.入力途中にエラーを表示する

「1.入力項目を精査する」「2.自動入力を活用する」を実施していくことでユーザーのストレスはかなり軽減します。さらにエントリーフォームの入力完了率を高めていくために、入力途中でエラーが発生した場合にその場で「携帯番号にハイフンが含まれています」「住所に全角が使用されています」などのメッセージを出るようにすることをおすすめします。「3.必須項目を分かりやすくする」でもお伝えしましたが、すべてを入力し、「送信」を押した後に「○○にエラーがあります」と表示があり、入力フォームに戻り、修正し、また「○○にエラーがあります」と何度も何度も繰り返されると、モチベーションがどんどん下がていくので、離脱されてしまいます。モチベーション低下は離脱の大きな原因ですので、極力ストレスをなくすべく、エラーはリアルタイムで指摘するようご検討ください。

6. 入力完了までのステータスを開示する

入力フォームの一般的なデザインは1ページにすべての項目が記載されていることが大半ですが、ステップ型になっているフォームもあります。このデザインは1ページで入力する項目が少ないため、心理的ハードルが低く、進んでいる感もあります。またページを分けなくても、フォームの近くに「必須項目 5個/6個 入力中!」という追従バナーが表示されるフォームもあります。このようなフォームは「終わり」が分かりやすいので、入力完了率が高まります。

資料請求フォームの事例を見てみよう

契約書管理システム、SFAを提供する企業各100サイトを調査し、各サイトのエントリーフォームの傾向、必須事項などをまとめています。同業他社がどのような項目を使っているのかを知ることで改善に繋がっていきますので、ぜひご覧ください!

冒頭でサービス特性によって離脱率が変わることをお伝えしました。それと同じく、コンバージョンの定義もサービス特性によって変わります。契約書管理システムとSFAでどのようなコンバージョンを設定しているのか?まずはランキングの紹介です!

契約書管理システムを提供する企業が設定しているコンバージョンランキング

  1. 資料ダウンロード(42%)
  2. 無料トライアル(28%)
  3. 問い合わせ(27%)
  4. 資料請求(21%)
  5. アカウント作成(5%)
  6. 料金シミュレーション(5%)

SFAを提供する企業が設定しているコンバージョンランキング

  1. 資料ダウンロード(42%)
  2. 問い合わせ(36%)
  3. 無料トライアル(32%)
  4. 資料請求(21%)
  5. アカウント作成(9%)

他業界との大きな違いは「資料請求」よりも「資料ダウンロード」と「無料トライアル」が多いことです。「資料ダウンロード」と「資料請求」は2倍以上も差があります。

改めてにはなりますが・・・「資料請求」はフォームに必須事項を入力した後にメールが届き「担当よりご連絡しますので、少々お待ちください」というメールが届き、その後営業担当者か事務局担当者からメールにて資料が送られてい来ることが大半です。
一方で「資料ダウンロード」は、必須事項を入力すると人を介すことなくそのままダウンロードURLが案内され、PDFデータをダウンロードできます。

他業種よりも「資料ダウンロード」の比率が圧倒的に多いですが、2つの背景があると考えています。

・事業者側:
資料ダウンロード後にリードナーチャリングをすること前提である

・ユーザー側:
他社と比較検討をすることが前提のためスピーディーに資料を受け取れたほうがいい

SaaS系は「資料請求」よりも「資料ダウンロード」が当たり前になってきつつあるので、コンバージョンの定義自体を「資料請求」にしているサイトは、そこから見直すことも一つです。もしかすると、「入力したらすぐに資料が受け取れます!」という文言を追加するだけで、今の離脱率を大幅に改善できるかもしれないので、項目やフォームのデザインを見直すことはもちろんですが、コンバージョン定義自体も見直すきっかけになればと思います。

次に、契約書管理システムとSFAでどちらも割合が多かった「資料ダウンロード」「問い合わせ」におけるフォームの傾向を見ていきましょう。

前述した以下の6つの改善ポイントを軸にそれぞれのフォームを比較していきます。

  1. 入力項目を精査する
  2. 自動入力を活用する
  3. 必須項目を分かりやすくする
  4. 入力例を分かりやすくする
  5. 入力途中にエラーを表示する
  6. 入力完了までのステータスを開示する

資料ダウンロード

契約書管理システムとSFAのサービスを展開するサイトの内、コンバージョンを「資料ダウンロード」としている企業を限定して、エントリーフォームにどのような項目を設定しているのかを調査しました。各社おおむね同じような傾向であったものの、実際に横ぐしでサイトを見ていくと「これは入力ハードルが低い」「簡単に入力できそう」と感じるものもあれば、「入力ないようが多いな・・」「必須と書いていないけど、全部入力するの?」と感じるものもあり、ここでも離脱率に大きく差がありそうです。詳しく解説していきます。
資料ダウンロードフォーム調査結果
調査期間:2023.09.13-09.18
対象サイト:「契約書管理システム」を提供する企業100社

入力項目数

  • 最多:25個
  • 最少:4個
  • 平均:7個

最も多いサイトは、1スクロールじゃ収まりきらないほどの入力項目数があり、かなり細かい内容を記載しないと資料ダウンロードができない仕様になっていました。最少は4項目で、社名、名前、電話番号、アドレスのみ入力するというシンプルなフォームでした。入力ハードルがかなり下がりますので、「とりあえず資料だけもらっておこう!」という気持ちになりやすいと感じました(あくまで主観ですが・・・)。平均の入力項目数は7つでした。必須項目は後述しますが、フォームの入力項目として人気だったのは下記です。

  • 会社名
  • 指名
  • アドレス
  • 電話番号
  • 従業員数
  • 部署名
  • 役職名
  • 個人情報の取扱について
  • 住所

必須項目数

  • 最多:15個
  • 最少:3個
  • 平均:7個

会社名、氏名、アドレス、電話番号は、ほぼどの企業も入力を必須にしているので抵抗なく入力できますが、企業によって、従業員数、部署名、役職、検討時期、検討状況も入力が必須になっている企業がありました。「資料ダウンロード」は該当のURLから資料をダウンロードするだけなので、下記は必須にしなくても良いのでは?と感じた項目です。

  • 名前のふりがな
  • 住所(ビル名まで詳しく)
  • 問い合わせ内容の詳細記入(フリーワード)

あえて入力項目のハードルをあげることで、コンバージョンの質を調整しているかもしれませんので、一概には言えませんが”離脱率改善”という観点で考えると、なくしてもよさそうです。

各サイトの必須項目ランキングも合わせてご覧ください!
資料ダウンロード必須項目ランキング
「社名」「名前」「アドレス」「電話番号」までは9割方のフォームが必須項目としていたため、ユーザーの心理的ハードルは低そうです。一方で、「役職」以下は一気に割合が減っていきます。そうすると、「役職も入力するのか」「部署名も・・従業員規模も・・・」と少しずつハードルが上がってくることが想定されるため、必須項目に迷っている方はこのランキングをもとに項目を精査してみてください。

自動入力
必須項目における「住所」のランキングが低いこともあり、ほとんどの会社が「社名」「名前」「アドレス」「電話番号」で完結するフォームになっていました。そうすると自動入力に該当する項目がないため、そもそもの機能として自動入力を実装しているフォームは少ない傾向にあり、プルダウン形式の方が多い印象でした。

入力例の記載
該当企業は5/200社でした。
この少なさは調査をしていく中でとても驚いたことでした。ほとんどが、枠の中に (例)03-1111-1111 のように記載されているため、入力すると例が消えてしまうという状態です。まだ主流じゃないのか、業種の特性なのか・・・他の企業が実装していないですが、カンタンに記載できることなので競合との差別化、離脱率を向上するためにもぜひ実装してみることをおすすめします。

調査をしていてとても見やすかった例をご紹介します。

Aladdin Office ( https://aladdin-office.com/ )
アラジン

入力途中のエラー表示
該当企業は8/200社でした。
この機能もユーザーからすると「すべてを入力したあとにエラー修正」をしなくて済むので嬉しい機能ですが、実装している会社はまだまだ少数派でした。機能を実装している企業の大半が、必須項目の入力をしないまま次の項目の入力に進むと「この項目は必須です。入力してください。」と表示がされるので、リアルタイムに気づくことができました。下図のように入力途中に赤字でメッセージが出てくるイメージです。実際には文字自体が点滅しているので、より分かりやすいです。こちらも、実装している企業はまだまだ少ないので、ぜひ実装をご検討くださいませ。

Sales Force Assistant ( https://www.salesforce-assistant.com/ )
セールスフォースアシスタント

入力ステップを記載
該当企業は4/200社でした。
この項目も少数派でした。ということは、ただエントリーフォームを用意しているだけで、あまりEFOまでは出来ていない企業が多いということですね・・・離脱率をはかなり改善の余地がありますね。一般的な問い合わせステップの記載は、以下のように「あとどのくらいのステップがあるか」をフォームの冒頭に記載していることが多いですが、100社見た内の1社だけ、リアルタイムに「あと●項目です!」と表示が出ている企業が有りました。これはとても親切ですし、モチベーションが保たれますね!

三菱電機ITソリューションズ( https://www.mdsol.co.jp/ )
mdsol

問い合わせ

問い合わせフォーム調査結果

入力項目数

  • 最多:17個
  • 最少:6個
  • 平均:9個

資料ダウンロードは最多項目の企業と最少項目の企業の差がかなり開いていましたが、問い合わせについては平均でも9個の入力項目があり、資料ダウンロードに比べると多い傾向でした。問い合わせになると、住所や目的、きっかけなど細かい情報の入力も必須となってくることもあり自ずと項目数が増えていました。また企業によっては、Webサイトの表記を「問い合わせ」にしつつ、フォームに行くと「無料相談」「資料請求」「見積依頼」などそこから項目を選ぶようにしている企業もあり「問い合わせ」に含まれる意味が多様化していることも項目数が多い要因です。

フォームでよく使われていた項目としては以下となります。

  • 会社名
  • 指名
  • アドレス
  • 電話番号
  • 従業員数
  • 個人情報の取扱について
  • 住所
  • 目的
  • お問い合わせ詳細

「資料ダウンロード」と比較すると、「部署名」や「役職名」「従業員数」の入力項目を設定している企業が少ない傾向でした。

必須項目数

  • 最多:12個
  • 最少:5個
  • 平均:7個

「資料ダウンロード」にはない必須項目としては、「商品名」「メルマガの有無」「予算」「新規or顧客」など企業との関係性を問う項目があったことです。「資料請求」「資料ダウンロード」「問い合わせ」などの目的に応じてユーザーに聞くべき情報は変わっていくはずですので、全フォームを同じ項目にしているサイトがありましたら、上記を参考に項目の見直しをしてみてください。

お問い合わせフォームにおける、必須項目のランキングは以下となりました!
問い合わせフォーム:必須ランキング

※「入力例を分かりやすくする」「入力途中にエラーを表示する」「入力完了までのステータスを開示する」については資料ダウンロードの結果とほぼ同じでしたので、繰り返しの説明は割愛します!

フォームの離脱改善のポイントとして下記6つを解説しつつ、調査結果をお伝えしてきました。改善のポイントはユーザーのストレスをいかに作らないかが重要ですが、下記のすべて満たしているのは1~2/200サイトです。そうすると、まだ競合会社も追求できていない部分になりますので、今のうちからぜひ見直してみてください。

  1. 入力項目を精査する
  2. 自動入力を活用する
  3. 必須項目を分かりやすくする
  4. 入力例を分かりやすくする
  5. 入力途中にエラーを表示する
  6. 入力完了までのステータスを開示する

上記をほぼ満たしているサイトがありましたので、最後に紹介とさせていただきます!
ニッセイコム ( https://www.nisseicom.co.jp/ )

まとめ

離脱率を改善するポイントをお伝えしてきました。サービス特性によって違うものの、他社が何をやっているのか、どのような項目を設定しているのかを知っていただくことで改善の参考になると感じ、200サイトに渡る調査結果もお伝えしてきました。皆様の改善の参考になれますと幸いです。

申し遅れましたが、私たちはWebサイトから問い合わせを増やしていくための分析や調査はもちろんのこと、改善に向けた具体的なご進言を行なっています。資料請求フォームに限らず、Webサイトからどうやって問い合わせを増やしていくのかにお困りの方は、ぜひ一度ご相談くださいませ。

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